2017年5月22日月曜日

『都市鳥ニュース』№22を発行しました・・・メールで贈ります

当会の広報誌『都市鳥ニュース』№22を発行しました。今回のトップ記事は「全国調査『イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか』観察状況をお寄せください+まとめ人・スタッフ募集」です。
イソヒヨドリの内陸部進出は予想以上に進んでいて、調べはじめて序の口の段階ですが、出会う人にイソヒヨドリの話をすると、それぞれ身近なところで観察していて、さまざまなところに進出していることがわかってきました。そこで、事務局の力だけでは全体をまとめ切れないということで、都道府県単位での「まとめ人」(共同研究者)を募っています。もちろん「できる限り」で結構です。事務局がバックアップします。また、情報整理のスタッフも募集しています。ぜひ積極的に手をあげてください。

“内陸部進出は予想以上に進んでいる!”を実感したのはもうひとつ。52日付朝日新聞・夕刊に、イソヒヨドリの話と写真、目撃情報募集との記事が載った夕方から、メールが次々と寄せられ、516日現在で60件となりました。観察地を都道府県別に集計したところ、沖縄・九州地方から3件、中国・四国地方5件、関西地方37件、中部地方1件、関東地方14件、東北・北海道地方0件ということで、関西圏からが2/3という状況でした。それにしても新聞記事への反応ですので、イソヒヨドリの定着は確かだという証拠になります。

ところで、メールの中で“感謝”ということが書かれているものが何通もありました。日ごろ気になる鳥だが「写真」をみて、イソヒヨドリだと分かったというものです。写真の主は本ブログの420日付で登場した東京・渋谷の“いそ太郎”君。新聞にのった写真がカラーだったため、目にとまったようです。このブログのイソヒヨドリは同じ場所で撮られたニューフェース“いそ次郎”君〔写真・北野美穂子氏撮影〕。乱暴者の“いそ太郎”が姿を消した後、“いそこ”さんの新しいパートナーとなって現れたイケメンとのことです。

ここまで読んで“何の話?”と興味を持たれた方は、当会メールアドレス〔下記〕に、「B会員で入会希望」とメールをお寄せください。『都市鳥ニュース』№22PDF版〕をメールでお贈りします。ちなみに、B会員は協力会員で会費等は不要です。

Emailhkawachi2dreamyahoo.co.jp 〔発信の際に☆を@にしてください〕



2017年4月30日日曜日

「イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか」調査展開中

磯の鳥・イソヒヨドリ Monticola solitariusが、市街地のビル街や思いもよらない山中で見かけることが多くなっています〔写真:渋谷のイソヒヨドリ・北野美穂子氏撮影〕。
「イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか」というテーマで、その実態と原因、影響などについて、都市鳥研究会の統一テーマとして調べています。
イソヒヨドリの最近の観察事例を、「いつ・どこで・何羽・何をしていた」という形でお送りください。また、未発表の過去の記録や、何らかの形で公開された報告なども収集しています。逆に、海岸線で従来生息していたが、ここのところ減ったなどといった記録も貴重です。さらに、ネット上でこんな情報・記録を見かけたという情報もお願いします。
ご連絡の際、お名前・連絡先の明記をお願いいたします。記録は会誌・ニュースなどでまとめさせていただきます。 〔第1次締切:2017年6月30日〕


【報告例】 囲みのような内容でお送りください。①~③のいずれかの連絡先を
1.いつ:2016 47
2.どこで:和歌山県
3.何羽:♂3羽;早朝から宿坊一帯を歩いていて、3か所で単独で認めた。
4.何をしていた:3羽とも、建物の上で囀っていた。
5.その他:
6.報告者:川内 博(カワチ・ヒロシ):
  ①E-mail ②Tel/Fax  ③住所などの連絡先                         


【連絡先】
E-mail:hkawachi2dream☆yahoo.co.jp Tel/Fax:048-462-7141
住 所:〒351-0114 埼玉県和光市本町31-16-901  都市鳥研究会・イソヒヨ
ドリ係

迷惑メール対策でメールアドレス@は☆に換えてあります。メールをお送りいただく場合は、☆を@に換えてください。

渋谷のイソヒヨドリ

2017年3月27日月曜日

2016年八王子駅周辺3㎞四方ツバメの巣調査結果

東京都八王子市を中心に活動している「八王子・日野カワセミ会」は、当会が実施している「東京駅を中心とした3㎞四方」と比較ができるように、JR八王子駅を起点に同様の調査しています。会報『かわせみ』第58号に、昨年の結果が載っていました。
 同会では2001年が最初で、今回が4回目で、巣数の年次変化は下記のグラフ〔第2図       

 縦軸:巣の数・横軸:調査年〕の状況で、残念ながら右肩下がり5年前と比べ約10%10年前と比べると35%の減少とのこと。次いで営巣した建物については、1建物に189%でしたが、多数造られている場所もあり4巣(市民センター)・5巣(小学校)・6巣(保育園)とのこと。人がたくさんいるところが好きということと、適した建物が減ったということではないかと推測しますが、「駅はゼロ」というデータ〔第3表〕も最近の状況を現していると思いました。(川内 博)



2017年3月7日火曜日

「時代とともに生息環境変化」本会の研究が日経新聞3月5日に紹介されました

「カラス 都会を去る」というタイトルで、35日付・日本経済新聞のサイエンス面に、当会調査のカラスねぐら調査の結果をもとにした記事が大きなスペースで載せられました。今、東京の市街地でカラス(とくにハシブトガラス)の減少が顕著です。記事では、その裏付けとなる「都心部にねぐらをとるカラスの数」の推移グラフや、「生ゴミ対策や捕獲の効果」が功を奏したという東京都の見解などが紹介されています。
また、この記事には、当会がもう一つの柱として実施している「東京駅を中心としたツバメの繁殖状況」調査も紹介され、営巣数の推移などのグラフも載せられ、関連して日本野鳥の会の全国調査の結果も触れられています。さらに話題は全国的な「スズメの減少」にもおよび、当会会員の三上 修さん(北海道教育大学)のコメントが載っています。
後半部は、ドバトやカモの減少、カワセミやオオタカの増加など、大都会・東京の鳥たちの今の姿に話は展開し、記事中にかかわるツバメ・スズメ・オナガガモ・ドバト・オオタカ・エナガ・カワセミのカラー写真も載せられ、最後に、「都市部の鳥の栄枯盛衰は、人間は鳥とどう共生すべきかという問題を訴えている」と締めくくられています。 

226日、NHK総合テレビ「ダーウィンが来た!」で、話では聞いていた“ローマのカモメ”の状況が紹介されました。世界中の大都会で、野生動物とのトラブルが発生しています。かの有名な“東京のカラス”はどうなっていくのか〔写真〕、都市鳥研究会では、今後もしっかり注視していきたいと思っています。(川内

銀座でもっとも生ごみの食荒らしが目立った場所の今

2017年2月10日金曜日

東京のカラス問題今昔・2月15日TBS「上田晋也のニッポンの過去問」で放送

東京のカラス問題1990年代~2000年代にかけて、大きな社会問題となり、全国的に話題を集めました。この問題が来週215日(水)の深夜(16 0:431:13TBSテレビで、「上田晋也のニッポンの過去問」で取りあげられます。

当会の会誌最新号『URBAN BIRDS  Vol.33』には、第7回の「東京都心におけるカラスの集団塒の個体数調査」の結果が報告されています。この調査は、東京都心部の緑地(明治神宮・自然教育園・豊島岡墓地)の3か所で、冬にねぐらをとるカラスの数をカウントしているものです。これまでの推移をみると、第1回(1985年)に計6,727羽、第4回(2000年)には計18,664羽と急増しましたが、その後急減し、昨年末の第7回では計4,816羽となっています。

番組では、この数字に注目し、急増した理由・急減した原因について追及するとのことです。急増については説明がつきますが、これほどまでの「急減」については、今後、生ごみ対策[写真:最近のゴミ集積所の一例]、住民の意識向上、都による捕殺・巣落としの効果、またオオタカなどの猛禽類の進入など多面的な検証が必要と思われます。しかも街のカラス問題は全国に広がっていますので、決して過去のニュースではありません。しかし、この問題をよく知らない若い人はまずは題名通り「過去問」として必見です。

深夜の放送で、地域限定のようですが、都市鳥研究会がかかわった番組です。ぜひご覧ください。(川内 博)


最近のゴミ集積所の一例

2017年2月3日金曜日

都市鳥研究会誌 URBAN BIRDS Vol.33(通巻第74号)が発行されました。

74号 目 次

巻頭言…和田 岳  

7回者『心におけるカラスの集団塒の個体数調査(2015)
(唐沢孝一越川重治金子凱彦川内 博、石井秀夫柴田佳秀田中正彦沼里和幸) 

品川区におけるツバメの繁殖調査報告(唐沢孝一)

●広域的空間スケールにおけるスズメの個体数水準の変化
―明治から現代にいたる米穀の流通脱漏の変化に原因を求める一(有郎)

東京におけるウミネコの屋上繁殖の現状(松丸一郎樋口広芳)

スズメによるムクドリ繁殖巣の雛への異種間給餌(越治)

本会主催の集会報告・2016年の発行・発信物。お知らせ


2015年度。2016年度会計報告(金子凱彦川内 博)


2017年1月19日木曜日

図書紹介 数え上げた浅川流域の野鳥Ⅲ 八王子・日野カワセミ会30年間の観察記録

八王子市は東京都の南西部の多摩地区に広がる中核都市。日野市は東側に隣接しています。その中を流れるのが「浅川」。一級河川多摩川の支流で、山田川、湯殿川などと合流して、多摩川の中流域へと流れ込んでいます。「八王子・日野カワセミ会」は、30年前に30名程度で発足し、現在は230名の会員を誇る地域グループです。
ここでの調査活動は、他に類を見ないほど活発で、しかも「カウント」を中心に、比較・分析・検証ができるような科学的な調査を行っていて、さらに、その結果を印刷物として発行し続けていますので、重要な文献ともなっていす。今回の報告書の「Ⅲ」は10年前に続いてのもので、その間の状況や変化など、多くのことを知ることができ、自分のフィールドとの比較など有効な情報を得ることができます。
当会が中心となって、全国展開している「イソヒヨドリ」の状況についても、7ページにわたって詳細な報告がなされていますので、ぜひご一読ください。


『数え上げた浅川流域の野鳥Ⅲ 八王子・日野カワセミ会30年間の観察記録』(A4版・202ページ)。実費1,000円で頒布していただけるとのこと(送料はカワセミ会負担)、下記にお申込みください。
1920914 東京都八王子市片倉町937135 門口一男様


2016年11月10日木曜日

千葉県でのイソヒヨドリの内陸進出・中間報告

イソヒヨドリは名前のとおり、日本では海岸でよく見られる鳥ですが、アフリカからユーラシア大陸などでは山岳地帯の岩場などで生活しています。海岸でしか繁殖していなかった日本の方が特殊だったのではないでしょうか。近年関西を中心に内陸部の繁殖が増加し、関東にも内陸部の繁殖や目撃が増加してきていますが、千葉県でのようすをご紹介します。
2011年改訂の千葉県レッドデータブックでは、イソヒヨドリは要保護生物(絶滅危惧Ⅱ類に相当)になっていて、比較的個体数が少ない鳥類ですが、内陸への分布拡大を通じて個体数も増加傾向にあると思われます。
イソヒヨドリがどのように関東圏で生活域を拡大していくのかを追跡するため、千葉県での記録を文献および鳥仲間を通じて集めています。県内での内陸進出は、記録を辿ると古くは1970年台にいすみ市と勝浦市での記録があります。このうち勝浦市のものは、勝浦ダムのものです。
201610月までの集計では、内陸部での目撃例は佐倉市で9例、柏市で7例、流山市・市川市で4例、印西市・我孫子市で3例、いすみ市・鴨川市・君津市・勝浦市・松戸市でそれぞれ1例ずつあり、県内のほぼ全域で見られています。また、変わったところでは、鴨川市の東京大学演習林天津事務所付近では、ほぼ毎年のように見られています。この場所は房総半島の森林の中の管理事務所で、海岸でイソヒヨドリを見慣れた者にとって信じ難い場所です。ビル街のイソヒヨドリと同じく、イソヒヨドリは海岸の鳥というイメージはこれから捨てたほうがよさそうです。

県内の内陸部での記録が増加し始めたのは2013年ごろからで、2015年には我孫子駅前で巣立ち雛が見られていますので、このころから内陸部での繁殖がはじまったと考えられます。文献および観察記録の詳細な分析がまだ終わっていないので、引き続き集めています。情報をHP「掲示板」に書き込みお願いします。(越川重治)

船橋市の住宅街にあらわれたイソヒヨドリ 2015.5.14

2016年10月22日土曜日

「我々の次の世代」ブリティッシュバーズ誌の巻頭を読んで

最近、鳥や自然関係の会でよく話題になるのは、若い人が従来の組織に入ってこないこと。このままでいくと会の存続が危ぶまれるという心配です。
イギリスの野鳥雑誌『ブリティッシュバーズ』の今年の7月号〔写真〕の巻頭「BB eye」でステファン・モス氏が「我々の次の世代(The Next Generation)」という文を載せていました。その内容の大意を紹介します。

イギリスでも長い間、野鳥観察の会に若い人が来るのは珍しく、どこに行ってしまったのか不思議だったそうです。ところが今、この事態は変わってきているようです。土曜日の午後のバードフェァの場で、若者たちが野外でビールを飲みながら、年配の野鳥観察者や自然保護活動家たちと談笑しているとのこと。
若者の興味を引き、頼りになる「若い野鳥観察者の会(NGB)」と「自然観察(A FoN)」の2つの団体に入る若者が多く、彼らはソーシャルメディア(SNS)を駆使してブログを書き、写真や動画を配信し、一瞬にしてメッセージを伝えているとのこと。1960年代の若者が、20世紀末に抱いた虚無感は去って、次世代は“やってやろう”の意欲で一杯のようです。

イギリスの子供たちが、日常的にアウトドア生活と離れ育ち自然を知らないことが社会のあらゆる面に負の影響としておよんでいます。しかし、私は今、若者に信頼を寄せています。彼らは自発的かつ独創性によって、自然とのかかわりを構築しています。若者の姿は社会変化の象徴です。私達経験者がするべきことは彼らの話に耳を傾けることだと訴えています。
モス氏は最近フィンドレイ・ワイルド君が開設している「13歳のワイルド」というブログに「13歳ころ(1973年)の野外経験」を書いたそうです。その時に気づかされたのは、10代~20代を通して、野鳥観察の友達がたった一人しかいないことでした。当時は、今と違って野鳥観察と自然保護の発展にかかわる機会は皆無だったとのことです。
いまは、バーディングが著名人の中でも普通になってきているとのこと。また、学校にバーダーがいない若者もフェイスブックで近隣の場所で6人も見つけたとのこと。このように若者たちはソーシャルメディアで繋がっている。この若者たちの動きが一時的でなくて将来に及ぶと思うので、とても良いニュースだと結んでいます。

日本でもソーシャルメディアの世界が広がっています。同時に年配の人と若い人がしゃべり合う現実の世界も大事です。先日参加した北海道大学での日本鳥学会大会の懇親会で、たまたま恐竜の若い研究者が隣にいて、野鳥が化石になったらという新発想を学びました。今の学問・社会の急速な変化はなかなか面白いようです。
モス氏の文に出てきたBirding with Bill Oddie, Next Generation Birders(NGB) , A Focus on Nature(A FoN) , 13 Years Wilde、またStephen Moss氏もインターネットで調べられます。すごい世の中ですね。(川内桂子)


              

2016年9月29日木曜日

興味深かった日本鳥学会・札幌大会

今年度の日本鳥学会大会は、916日(金)~19日(月)まで、札幌の北海道大学で開かれました。広告まで入れると300ページを超す講演要旨集には、59題の口頭発表、125題のポスター発表、19題の高校生(小中学生)ポスター発表、19題の自由集会、受賞講演、公開シンポジウム。それに新企画の「プレナリー講演」が2題と盛りだくさんのプログラムが記されていました。参加者は500名を超え、最終日の公開シンポジウムはほぼ満席でした。
当会が主催した自由集会については、824日付ですでに本ブログで報告しました。ここでは全体的なことを紹介します。まず、第一にあげられるのは、会場が点在し、参加者の多くが道に迷ったこと。これまでの日本鳥学会の会場は、コンパクトでとりあえず受付に行けば、どこで何をやっているのかわかるものでしたが、今回は受付と自由集会の会場が、地下鉄1駅分くらい離れていて戸惑いました。第二は、現代日本でもっとも関心の大きい「高齢化」があまり感じられなかったこと。かつてのように“若者の台頭”という雰囲気ではありませんでしたが、60歳代以上ばかりといった状況ではなく、20歳~40歳代の発表が多く、鳥の研究は、少なくとも今後数十年躍進していくだろうと予測できました。
私見では、ポスター発表に興味深いものが多く、発表者とのコミュニケーションも取れ、満足できるものでした。高校生発表もレベルが高く、充実していたとのことですが、時間が取れず今回はパスしました。〔発表を聞かれた方は、本ブログに感想をご投稿ください〕
最終日に行われた公開シンポジウム「恐竜学者の鳥のはなしと鳥類学者の恐竜のはなし」は出色でした。講演者による話の内容も、従来の鳥学界とはちがうアプローチで“笑い”も出るような楽しい雰囲気だったことと、何より参加者に“小学校低学年”の親子連れが目立ったこと、そしてその子どもたちが何人も堂々と質問したことです。

残念ながら、その中味は“恐竜”についてばかりでしたが、日本鳥学会大会に子どもたちが食いついてきたことは、今後の運営にひとつの示唆を与えたことで重要と思いました。(川内博)

講演要旨集

シマフクロウが脚にとらえた“鳥”は、羽毛恐竜・アンキオルニス Anchiornis

2016年9月24日土曜日

日本鳥学会2016年度札幌大会自由集会終わる

9月16日に札幌の北海道大学でおこなわれた日本鳥学会2016年度札幌大会にて、カラスのねぐらをテーマとした自由集会を開催しました。
学会初日でしかも平日金曜日の夕方という時間設定なうえ、さらに指定された会場が非常に分かりにくかったこともあり、どれだけの方に参加していただけるかと心配でしたが、30名もの方にお集まりいただき、有意義な自由集会になりました。

前半は各地でカラスのねぐら問題にかかわっていらっしゃる3名と私の4名が話題提供者としてお話ししまいた。

トップバッターは地元札幌で詳細なカラスの観察調査をされているNPO法人札幌カラス研究会の中村眞樹子さん。ビルに囲まれた緑地や斜面林、鉄道林などにカラスのねぐらが形成されること、ロードヒーティングの影響があることなどのお話しでした。北の国ならではの特徴があるなという思いがします。大勢の人が利用する大通公園にもねぐらがあり、問題になっていない点が不思議でしたが、人が通る道の上ではカラスが寝ないため、糞が人にかからないので問題にならないということでした。



つぎに元鳥学会会長の中村司さんに、山梨・甲府の街路樹にできたカラスのねぐらについてご報告いただきました。甲府のかつてのねぐらはハシボソガラスのみが北部の山間部にあったが、2009年に駅前の平和通りのケヤキ並木にハシボソガラスがねぐらをつくりはじめ、糞が落ちるなどの社会問題になった。それにさきがけ2005年にそれまでいなかったハシブトガラスの2~3羽が電柱にねぐらを作りはじめた事実があり、東京のカラス対策で追い出されたハシブトガラスが甲府に来て、ハシボソガラスを誘導したのではないかという説を提唱されました。なお、現在も冬期に600羽ほどのハシボソガラスが駅前のケヤキ並木で寝ているとのことでした。


岩手大学の東淳樹さんからは「盛岡市広域圏におけるカラスによる被害とその対策」と題してお話しいただきました。ハシブトガラスに発信器をつけて行動調査を行ったら、意外にもゴミには依存しておらず、農業残渣を食物源としていたことが明らかになり、その対策がカラス対策になると進めていた。とくに畜産関連ではカラスが入らないような工夫をして効果をあげていたということです。しかし、なぜかその成果を無視するように行政は不必要なカラス追い出しを行い、かえって事態を悪化させたことの顛末を詳しくお話しいただきました。農家や行政との良好な関係を保っていくことの難しさが、カラスのねぐら問題をより困難なものにしていることを実感しました。



最期は、私が佐賀県佐賀市内でここ数年問題になっているミヤマガラスの塒問題について、お話しさせていただきました。ミヤマガラスは、海外で繁殖し日本で越冬する渡り鳥のカラスです。1990年以前は九州に渡来するに過ぎない比較的珍しい種でしたが、それ以降はどんどん越冬地が増え、現在では日本全国で見られるようになっています。さらに佐賀市では、街のど真ん中の県庁のある公園に約1万羽がねぐらをつくり、大量の糞を落とすなど大問題になっています。カラス対策は捕獲、ゴミの遮断、巣の撤去などが行われますが、ミヤマガラスにはどれも効果がないか、実施ができないなどの特殊事情があり、打つ手がないのが現状です。佐賀以外でもミヤマガラスの市街地ねぐらができつつあり、新たなカラス問題になりつつあると報告させていただきました。



後半のディスカッションでは、カラスのねぐらではなにが問題になるかが話題になりました。一番は糞で、人が通るか通らないかの違いで問題になるかどうかが決まるということでした。
また、ハシボソガラスのねぐらはあまり鳴かないので気がつかれにくく、ハシブトガラスがはいるとよく鳴くので目立ってしまい問題化するというお話しもありました。


また、生息数の制御について、ゴミは人のコントロールが可能ですが、農作物のコントロールはなかなか難しいので、どうしたらいいのだろうという課題が浮かび上がりました。

カラスのねぐら問題は、なかなか複雑な背景があり、解決できるものではありませんが、このような自由集会を実施することで地域別の事情や問題点の整理ができ、有意義なものになったと実感しています。
柴田佳秀


2016年8月30日火曜日

「イソヒヨドリの謎」が毎日新聞8月12日夕刊に

当会が全国調査を実施している「イソヒヨドリの内陸部進出」の話題が、毎日新聞の812日付夕刊の「憂楽帳」に紹介されました。
磯に限定生息していたイソヒヨドリが、海辺から数10㎞以上離れた市街地で繁殖している例は、東京や埼玉でも見られていて、東京湾から約50㎞離れた八王子市では、1990年代前半から継続的に観察事例があり、その後も増え続けています。
八王子・日野カワセミ会(代表・粕谷和夫氏・当会会員)の20157月~20163月までの非繁殖期の調査では、26件の観察情報があり、月1件以上の観察例から、非繁殖期にもふつうに生息していて「留鳥」であると判断しているようです。
また、今年7月までの営巣調査では、前年に比べ6か所で新たに営巣が見つかり、全体で14巣が確認されています。環境としては、駅前の事務所ビル、集合住宅、大型量販店などで、中には駅から少し離れた場所でも発見されているとのことです。
 これらの詳しい報告は、同会の機関誌『かわせみ』第56号に掲載され、94日に発行される予定です。
ところで、当会の調査については、朝日新聞の729日付夕刊に「カルガモ親子のお引っ越し」、同82日付夕刊に、「東京都心のカラスが減った」という話が載りました。「都市鳥」という名前が、鳥の世界だけでなく、広く一般に認知される日も近いようです。

イソヒヨドリの雌

イソヒヨドリはビルや屋根、人工物などの上にいるのをよく見かけますが、
普通の小鳥のように枝にも止まります。

2016年8月16日火曜日

都市鳥ニュースNo21号が発行されました

今回は、とても国際的な内容です。

名城大学の橋本さんには、今年の春に開催されたイギリス鳥学会2016年度年次大会の様子を寄稿していただきました。
イギリス鳥学会は日本鳥学会とは違い、毎年、テーマを設けて研究の報告会を催しているのですが、今回は都市鳥がテーマ。都市鳥研究の最前線を知る絶好の機会です。しかし、英語という壁があってアマチュアでは参加を躊躇してしまいがちです。
今回、橋本さんに詳しい参加報告を寄せてもらったことで、世界の都市鳥研究がどんな方向で進められているのか知ることができます。

有田一郎さんには、ソコトラ島に生息するソコトラスズメの報告を寄せていただきました。ソコトラ島は非常にユニークな生態系の自然が存在する島として有名ですが、そこに棲む固有種のスズメについての報告はあまりありません。貴重な観察記録です。


目次

読み物
・イギリス鳥学会2016年度年次大会参加記(上)(橋本啓史)
・ソコトラスズメに都市鳥のシナントロピズムを思う(有田一郎)
・イソヒヨドリの調査地探訪と漂行(林 哲) 
会からお知らせ
日本鳥学会2016年度大会・自由集会のご案内
投稿のお願い
入会のご案内・編集後記 


2016年7月30日土曜日

東武東上線沿線のムクドリの「駅前ねぐら」・第3報

昨年から紹介を始めた東武東上線沿線のムクドリの「駅前のねぐら」のようす。昨冬121日付の第2報の続きから始めますと、越冬の可能性もと記した北朝霞駅周辺は、結局2月以降は姿を消し、冬越しはありませんでした。
今年も、池袋(東京都)~川越(埼玉県)間でのチェックをしています。ねぐら形成の状況は、昨夏とほぼ同じで、和光市駅を除く、埼玉県下の「急行停車駅」のようです。
723日のふじみ野駅・西口は大騒ぎでした。数日前にロータリーから大通りに続く一帯のケヤキの街路樹は丸坊主状態に剪定され、落ち着かないのか、薄暗い中をいつまでも、空を舞う群れが見られました。
いつもはスズメのお宿になっているコンビニ角からの横道の、選定されていないイチョウの並木にも強引に多数が入り込んだり、近くの電線に止まったりしていました。そのうえ、そんな状況に頭に来たおじさんが、バケツをたたいて追い立てたりで、騒ぎはいつまでも続いていました。

ふじみの駅・東口に行くとシーンとしているのに、人通りの多い西側だけにムクドリは飛来しています。これが駅の規模が大きい川越駅だと、両側のロータリーにねぐらが形成されてています。ポイントはやはり“にぎやかさ”か。(川内 博・桂子)