2012年12月11日火曜日

電車のドアが開いた途端飛び込んできたハクセキレイ

12月9日(日)午前10時ごろ、東武東上線終点の寄居駅〔埼玉県寄居町〕に電車がついて、ドアが開いた途端、1羽のハクセキレイがパッと飛び込んできました。当初はなんのことかわからなかったのですが、よく見ていると、どうやらドア付近に落ちている、パンくずのような小さなものをさかんについばんでいました。

しばらくすると向かいに止まっている電車にも乗りこみ、採食を繰り返していました。電車には乗客が座っていて、その近くまで行ってはまた外へ出るという動きでした〔写真〕。似たような観察は過去にもありますが、ハクセキレイのドバト化ともいえる行動です。

もしかしたら、ドアが閉まって、次の駅まで無賃乗車するのではと楽しみに見ていましたが、結局発車時には外にいて、電車の前を飛び去ってしまいました。その間5分程度。これは来年度予定されている調査・「駅を利用する鳥」(仮題)のひとつの事例でしょうか。(川内桂子)

2012年11月29日木曜日

駅前のハクセキレイのねぐら

駅前のロータリーなどの街路樹にハクセキレイがねぐらをとることはよくあります。たとえば、会の事務局のある埼玉県和光市の最寄りの駅は、東武東上線・東京メトロが乗り入れる和光市駅。この南口には、周年、数10羽~200羽程集まる常緑樹(カシ)があり、今の時期だと夕方5時~530分くらいの間に、周辺の建物の上に集まった群れが次々にねぐらに入っていきます。ねぐら入りの時間は20分くらいですので、ちょうどその時間でないと、そこにねぐらが形成されているかわからないものです。

 JR中央線三鷹駅は、夕方よく歩きますが、北口を利用することがほとんどで、ハクセキレイの声はほとんど聞いたことがありません。しかし、1127日、たまたま南口を510分ごろ通ると、イルミネーションに装飾されたケヤキ〔写真〕に集まるハクセキレイの群れを見つけました。最近各地でこの種の街路樹を見かけますので、そんな環境を利用するか否か興味を持っていたところでした。観察結果は、ケヤキの下部の葉がまだ残っている部分を使っているということで、あまり興味のあるようなものではありませんでした。

来年は「駅を利用する鳥」(仮題)というコンセプトで、新しい調査を予定しています。都市鳥と駅、どんな研究になるか、ご期待ください。とともに、この時期のハクセキレイのねぐら情報をお寄せください。

2012年10月25日木曜日

カラスのクルミ割り・情報をお寄せください

 秋が深まり、野山にクルミが実るころです。10月20日(土)、新潟県南魚沼市六日町の町なかを歩いていたところ、ハシボソガラス1羽が、側溝のふたの間から丸いものをくわえて、車道上の電線に止まりました。車が何台か通り過ぎたあと、電線の1羽と近くで待機していた1羽の2羽が道路に降りて、小さな黒っぽいかけらをさかんにつついていました。
 路上の2羽は車が接近しても飛び立たず、食べるのに夢中といった感じで、車がすぐ近くまで来て、やっとかけらをくわえて、地面を歩いて車を避けるといった行動でした。
我々人間が近づくと、さすがに飛んで逃げましたが、くちばしにはしっかり黒っぽいかけらをくわえていました。
 黒っぽいかけらの正体はクルミの殻で、カラスにとって、クルミの実はお菓子のような魅力的なものと思われます。













今回の観察では、クルミが落下により割れたのか、車に轢かれたのかはわかりませんでしたが、カラスのクルミ割りについて、各地の状況をぜひご報告ください。
(川内博)

2012年10月8日月曜日

ヤマガラ続報

 関東や関西で例年にないヤマガラの動きが観察され話題になっていますが、どうやらこの現象は日本だけに留まらず、韓国や中国でも見られているとのことです。
 ヤマガラの分布は、日本と朝鮮半島、および朝鮮半島のつけ根の地域に限られますが、この秋は青島、杭州、香港といった分布域からかなり離れた場所でも観察されているそうです。
 例年にないヤマガラの動きの原因としては、ブナの凶作が指摘されていますが、海外もとなるとどうなのでしょう。ヤマガラのいる地域全体の果実のなりぐあいが悪いのでしょうか。
 ヤマガラとは違いますが、スウェーデン南部ではアオガラの大きな移動があったようです。ものすごい数の鳥が移動している映像がありました。
(柴田佳秀)

Blue tits at Nabben, Falsterbo 2012-09-30 (Total count of 21 660 migrating this day)
http://www.youtube.com/watch?v=XZb5GBWo74Q

2012年10月5日金曜日

この秋はヤマガラが多い?

 本来は森の鳥であるヤマガラが、この秋、これまでほとんど記録のない場所で見られているようです。たとえば東京の六義園ではほとんど見られない鳥なのだそうですが、この秋は定着しているとのこと。http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2012/09/post-f018.html
 また、東京新宿歌舞伎町のような都会のど真ん中でも観察されたという報告も聞いています。
我が家のある千葉県柏市の住宅街でも、ここ数日連日のようにヤマガラがあらわれています。
この傾向は関東だけでなく、関西でも同じようだと聞きいています。
八ヶ岳の友人は今年は幼鳥の数が多かったと言っていましたので、ヤマガラの生産量が多いのかもしれません。
思いがけない場所でヤマガラに出会える可能性が高いので、みなさんもご注意ください。
(柴田佳秀)



2012年9月20日木曜日

50人が集まった日本鳥学会大会・自由集会

100周年を迎えた日本鳥学会の記念大会に、久しぶりに当会主催で自由集会を持ちました。

「都市鳥研究の現在とこれから」という、ややおとなしめのタイトルでしたが、大会最終日の夜(17日)にも関わらず、会場いっぱいの50人が集まり、意見交換がなされました。

話題提供として、「首都圏の都市におけるムクドリの塒の状況」が副代表の越川重治さんから、「全国の大都市におけるカラスの塒の状況」が新任幹事の柴田佳秀さんから、そして、「東京におけるタカ類の生息状況」が代表の川内博さんから報告され、それぞれについて、現状分析と今後のことについて討議され、会場から意見や情報が出されました。

また、そのほか、ブログでも話題となっている「イソヒヨドリの内陸部進出」の全国調査への発展、「スズメの現状」についての独自の調査・研究、「駅」に着目した都市鳥研究会ならではの調査展開など、興味深い研究提案が会場からなされました。

今年度は、現在までにすでに2ケタの新入会員をゲット! 「都市鳥研究のこれから」は新たな展望が見えてきました。




2012年9月11日火曜日

北海道のダムでもイソヒヨドリが繁殖

柴田佳秀さんが201253日付で報告された「イソヒヨドリの内陸ダムサイトのデータ」で、「北海道をのぞく全国でイソヒヨドリが見られていることがわかった・・・」と報告されています。また「進出はほぼ同時多発的に起きていることもこのデータからうかがえます」とのこと。しかし、北海道のダムでもイソヒヨドリが繁殖しています。

札幌市街地から南方向30㎞の豊平峡(ほうへいきょう)ダムで、2005年からイソヒヨドリを確認し8年目になります。2004年春から豊平峡ダムの鳥を見るようになり、イソヒヨドリの初目撃は2005422でした。毎年1ペア(20082ペア)が渡来し、のソングポストでの囀り、の巣材運び、巣らしきところへの餌運び、幼鳥の出現などを目撃しており、繁殖しているようです。8年間の目撃期間は、416日~710日でした。雪解けが遅いので、本州に比べると渡来時期は遅いと思います。豊平峡ダムは、1972年竣工の古いダムで、一番近い日本海から25㎞地点になります。

イソヒヨドリの過去の記録は、石狩鳥報(石狩鳥類研究会:代表樋口孝城氏)が記録を取り始めた1995年から内陸(豊平峡ダムの下流)での目撃情報がありました。その頃、イソヒヨドリが話題になっていたのを記憶しています。実際、私も豊平峡ダムの下流の河川で4月と8月に目撃しました(1998年)。

今となっては、ダムの繁殖個体だったのかどうかなど分かるはずもありませんが、参考になればと思い報告させていただきます。
(早川いくこ)

イソヒヨドリ♂2007.06.08豊平峡ダム

2012年9月10日月曜日

カラスシンポジウムのご紹介

紫外線カットのゴミ袋の開発などで有名な宇都宮大学主催のカラスシンポジウムが開催されるとの案内がありました。

平成24年11月17日(土)10時から
宇都宮大学峰キャンパス大学会館2階
主催:平成23年度基盤研究(A)「カラスの感染伝播と飛翔軌跡の解析(研究代表者 杉田昭栄)
共催:野生生物保護学会

このカラスシンポは、農作物の被害対策だけでなく、動物の学習や行動を研究する対象など、あらゆる分野のカラスの研究をおこなっている方々が集まるそうで、「カラスのすべてを語ろう」と銘打って丸一日かけてカラスを語り尽くすと言うことです。

とかく一面だけでカラスを見つめがちですが、多方面からのアプローチを知ることによって、また新たな発見や気づきが生まれるのではないかと期待できそうです。
(柴田佳秀) 

2012年9月8日土曜日

中央高速上り線談合坂SAのツバメ塒追加情報

8月26日付「都市鳥最新情報」に中央道談合坂SA上り線(山梨県上野原市)のツバメの塒の記事が出ましたが、ここは私の観察エリア内にあり、高速を利用せずに観察できるため、あわせて周囲のツバメの生息状況も観察しています。

私がこのSAの塒を観察しはじめたのは昨年からですが、昨シーズンは2回、今シーズンは4回観察(夕方と早朝の2回づつ)しています。以下、簡単ですが、その観察結果の概要です。

1.ツバメが就塒のためSAに多数飛来しはじめるのは、晴天の場合、ほぼ日の入り時間から始まり、その後、約30分でだいたい落ち着く。

2.ツバメが就塒に利用しているのは、街路樹のケヤキ(上野原市の市木)で、最大15本が利用されていた。

3.就塒木の核となる木が3本あり、ツバメの就塒前にスズメが先に塒入りしていて、この木を中心にツバメが塒入りしていく。

4.SA内で就塒しているツバメの数は、私の試算では2,000から3000羽程度

5.就塒後も、何かをきっかけに、多数が飛びまわることもあるが、サギの冬塒のように一度に全羽が飛んでしまうことはなかった。

6.出塒は、天文薄明が始まる前にすでに出ていくものもあり、星空高くから鳴き声が聞
こえる。


7.出塒のピークはサンプル数が少ない(2回)が、晴天の場合、日出時間の約25から20分前で、出塒方向は南に向かうものが大多数。

8.出塒後、南方約1kmに位置する大野貯水池のある上野原市大目集落では300羽前後の「出塒後集合」が見られるが、時間の経過とともにツバメは分散していく(ここでは夕方、「就塒前集合」も見られる)。その他、上野原市内には、50羽から300羽くらいの「就塒前集合」の場所が複数あり。

9.イワツバメ、ショウドウツバメの観察記録もあるようだが、SAエリア内では私は観察していない。

晴天の場合、日入後15分から25分経過したくらいが、ツバメの群飛のピークで、なかなか壮観です。8月から9月上旬にかけて、中央道を利用される方は、是非一度ご覧いただければと思います。 東京方面は夏休み中の夕方は、ここから先が必ず渋滞しているので、ここでツバメを観察しながら休憩して、ツバメが落ち着いた頃出発すると、渋滞が解消しているかもしれません。
(朝比奈邦路)

観察日:2011.8.23()9.12 () 2012.8.10(),8.16(),8.21(),8.22()

SA内で就塒中のツバメ、後方はSAのガソリンスタンド。(2012.8.21 04:05撮影)


2012年9月5日水曜日

「ツバメの蚊柱」・東京・清瀬市で

 東京の郊外・清瀬市では、8月に入ると下清戸3丁目の約2万㎡農地で「ひまわりフェステバル」が開催されます。毎年数万人がこの地を訪れて、清瀬の夏の「農ある風景」を楽しんでいます。今年も818日から31日まで開催されましたが、フェステバル終了後見晴らし台も閉鎖され、今では人影もない何時もの穏やかな農作地の風景が広がっています。
  92日、9時「ヒマワリとカワラヒワ」のショットを求めてヒマワリ畑に出かけました。ヒマワリは、この畑の所有者が毎年小麦を生産した後、畑の緑肥とするために栽培しているもので、フェステバルが終わるとヒマワリは刈り取られ、トラクターによって畑に漉き込まれます。私が行った時には既にトラクターが遠くで盛んに動いていました。
 さて、目当てのカワラヒワの姿は無く、上空を見上げて驚きました。「ツバメの蚊柱」です。蚊柱が横に広がっているように、トラクタが動いている当たりの上空にはおびただしい数のツバメの集団が飛び回っていました。どの位の数なのか、数えるのをあきらめて眺めているだけでした。日頃見かけない光景です。トラクタの動きに攪乱され舞い上がって来る昆虫を上空で待ち受けて捕食しているのでしょうが、このツバメは何処から来たのでしょうか。
 8月半ばを過ぎると、市内の柳瀬川調節池のツバメも、ここヒマワリ畑のツバメも一挙に数が減ります。従ってヒマワリ畑上空の集団が、この地域に密着して生活しているツバメだけとは思われません。おそらく移動中のツバメも多く含まれているのでしょう。ピンポイントのスポットでもそこに餌があれば目敏く見つけ、食いつなぎながら移動するツバメの生活の一端を知る思いがしました。
 トラクタが動きを止めると間もなく、ツバメの蚊柱はスーと消えました。あれほどいたツバメが上空からみごとに消えました。先を急ぐ身、餌の無いところに長居は出来ない・・・、状況の変化による適応の早さは、個体や種を維持するためには必須の条件なのでしょうが、慌ただしく集団が去った後、刈り残されたヒマワリ畑の上を何時ものように飛び回っている10数羽の地元のツバメ(?)に妙な親近感を覚えました。
(青木秀武)

2012年8月29日水曜日

都市鳥ニュースNo.13が発行されました。

都市鳥研究会が年2回発行している「都市鳥ニュース」が発行されました。

都市鳥ニュースNo.13
目次

読み物
・札幌市内のビル街で繁殖するオオセグロカモメ(中村眞樹子)
・10年以上続く東北一の繁華街のハクセキレイの塒(深瀬徹)
・海水を飲むドバト(カワラバト)(越川重治)
・繁殖期に住宅地で暮らし始めたウグイス(柴田佳秀)
・世田谷の住宅地で繁殖(?)したエナガ(大庭健二)

ブログから
・カラスのクルミ割り・東京の場合
・東京都心でハシボソガラスが繁殖をはじめる
・オスのイソヒヨドリも発見
・イソヒヨドリの内陸ダムサイトのデータ
・宿題が出たツバメ取材
・ツバメの集中営巣はなぜ・高尾山清滝駅
・本年度の銀座・築地のツバメ繁殖状況
・スズメのアパート・新たな発見・代々木公園
・柏駅で消滅したイワツバメの巣が一部復活

記事紹介
・ツバメが消えゆく街(朝日新聞朝刊 2012年6月19日付)

図書紹介
『都会でできる自然観察・動物編』学びやぶっく                  

日本鳥学会2012年自由集会開催趣旨「都市鳥研究の現在とこれから」
日本鳥学会 2012年大会・自由集会資料 「街になぜタカが進出してきたのか」
                         

2012年8月26日日曜日

中央高速上り線談合坂サービスエリアにツバメのねぐら

 元会員の方から中央高速上り線談合坂サービスエリアに、かなり大規模なツバメのねぐらがあることを教えていただきました。その方の情報によると8月7日の午後6時から7時にかけて、多数のツバメ類(イワツバメも混ざっていたが多くはツバメ)が乱舞していたそうです。最終的には、駐車場のかなりの広い範囲にわたって街路樹にねぐらをとったとのこと。一本の枝に鈴なり状態だったそうです。
 じつは私もその時間の少し前まで同じ場所にいました。スズメのねぐら入りは確認しましたが、ツバメがあらわれる少し前にサービスエリアを出てしまったので気づかなかったことが悔やまれます。この談合坂のツバメねぐらは、調べてみると2007年にはすでに存在していたことがわかっています。最大で2万羽ほどだということです。多摩川のツバメ最新情報http://tamatsubame.txt-nifty.com/news/1_2/index.html
 高速道路のサービスエリアにはツバメの他にもスズメやムクドリなどがねぐらをとることがあります。いつもにぎやかなこの場所で眠ることに何かメリットがあり、鳥たちはやってくるのでしょうか?
(柴田佳秀)

乱舞するツバメ類(撮影:成末雅恵さん)

2012年8月8日水曜日

鳥の色シンポジウム「色・鳥どり」のご紹介

創立100周年を迎える日本鳥学会が、興味ある催しを開きます。色あでやかなポスターと「新進気鋭の鳥学者と世界でただ一人の“アートレラー”が送る 日本初!?『鳥の色』シンポジウム」・「鳥たちの多様な色彩の進化と芸術への浸透」というアピールから、いままでにない、日本の鳥学界の新しい風が感じられ、どんな内容なのか楽しみです。
どうして鳥は色とりどりなの・鳥はどうやって色をだしているの・鳥はどんな色を見ているの・・・など日ごろ疑問に思うことがいろいろ解決できるかも。また、「鳥たちの多様な色彩の進化と芸術への浸透」という興味ある新展開もあるようで、耳学問としても一聴の価値がありそうです。
交通も便利で、地下鉄南北線・東大前駅でおりて東大農学部の門を入ればすぐ[地図参照]

日時:2012825日(土)13時~1630
場所:東京大学農学部 弥生講堂一条ホール(入場無料・申込み不要)
主催:日本鳥学会 企画委員会(くわしくはこちら





2012年7月23日月曜日

柏駅で消滅したイワツバメの巣が一部復活

2012年2月11日付け当ブログで千葉県柏市のダブルデッキ(正式にはペディストリアンデッキ)にあったイワツバメのコロニーが耐震工事のために消滅したという報告をしました。このとき、ほとんど巣を作れそうな場所がないので、今年は営巣しないのではという予想も書きました。
ところがたった2巣だけですが今年も営巣し、未確認ですが無事巣立ちもした模様です。おそらくイワツバメはもう戻ってこないと思いましたが、それでも営巣したところをみると、この場所がイワツバメの営巣場所としてとても良いところなのではと思われます。さて、来年はどうなるでしょうか。
(柴田佳秀)

2012年7月15日日曜日

スズメのアパート・新たな発見・代々木公園

当会会誌『アーバンバーズ』Vol.282011年発行)に、東京の代表的な都市型公園・千代田区の都立日比谷公園東屋での集中営巣について報告しましたが、同地では、巣自体がまったくなくなり、営巣しなくなりました。ところが、713日に、同じ東京を代表する公園のひとつ、渋谷区の都立代々木公園の木造の大型東屋(六角の休憩舎)の梁の交差部分を中心に営巣しているのを見つけました。とりあえず、下から見える巣は30巣で、そのうち5か所で出入りやヒナの声が聞こえてきました。〔写真〕
東屋自体が日比谷公園のものより大きく、巣の高さは4m~7m位の位置で、日比谷公園のように手が届くという場所ではありませんが、巣自体が丸見え・アパート状というのは同じです。東京地方では今まで事例が数少ない営巣タイプですが、各地の公園を調べてみると、類似が見つかる可能性が高いと思われます。他の地方ではいかがでしょうか。
(川内 博)





2012年7月10日火曜日

本年度の銀座・築地のツバメ繁殖状況

東京の銀座・築地では今年4月に、5か所でツバメの飛来を確認しました。そのうちの4か所で営巣しました。7月9日時点で繁殖に成功したのは2巣で11羽が巣立ちました。また、4巣が営巣中で、現在1巣で雛が生まれています。その中の2巣は2回目の営巣と思われます。
繁殖に成功した銀座のデパートの庇裏に営巣したツバメは、通勤途上の複数のご婦人や紳士に優しく見守られていました。私が雛を観察していると6羽いますよねと話しかけてきたり、昨日はカラスを親ツバメが追い払っていましたよと教えてくれたりと会話が弾みました。
もう1か所繁殖に成功した築地のビル管理人は、いつ巣立つのですか、どうしたら良いのですかと観察している私に尋ねてきたりしました。結局はツバメあり注意の表示のみ行っていました。また、2回営巣する場合がありますよと言っていたら、本当に2回目の営巣を始めていました。
繁殖に成功した2箇所のツバメともカラスを警戒しているようで、給餌でないのに戻って来て様子を見たり、近くのハシブトガラス追い払ったりしていました。築地では、繁殖に成功した巣より奥に新しい巣を造り2回目の抱卵をしています。
飛来はしたものの営巣しなかった1か所は、昨年は繁殖に成功していた場所なのですが。今年4月に行ってみると、古巣は撤去され、巣のあった梁のみが再塗装されていました。
調査をしていて、ツバメに対する人々の置かれている立場や思いの差が感じられました。〔石井秀夫〕

銀座デパート庇裏巣 2012年6月21日撮影

2012年6月29日金曜日

ツバメの集中営巣はなぜ・高尾山清滝駅

東京の高尾山は、都心から電車で1時間で行ける山として、都民に親しまれている名所です。最近は「ミシュランガイド」で三つ星観光地として紹介され、ますます訪問者が増えていますが、その多くが利用するケーブルカーやリフトの駅が清滝駅。この駅は、以前からツバメの巣が多い場所でしたが、627日に調べたところ完成した巣が17個あり、そのうち6か所で親鳥の出入りを確認しました。周辺の状況を簡単に調べたところでは、京王高尾山口駅に7巣ありましたが、土産物屋・飲食店などには巣を発見できませんでした。
都市鳥研究会のフィールドでも1か所集中しているところがあります。神田地区のハイヤー会社の大型車庫で、古い建物の中は薄暗くて洞窟のような環境です。単独型のツバメの巣が集中するのは、一帯に営巣適地がない場合ですが、清滝駅の場合はなぜでしょう。
ところで、近刊の『世田谷区内ツバメ繁殖数調査報告書(20092011年)』(財・世田谷トラストまちづくり 野鳥ボランティア)を読んでいたら、10年前と比べると集中営巣が大幅に増加している(3か所→15か所)という報告が目につきました。世田谷区は住宅地や商店街の多い地域で、比較的ツバメの巣が目立つところだけに、ちょっと気にかかるところです。(川内博)

2012年6月20日水曜日

ツバメが消えゆく街・朝日新聞で紹介されました

本会が1985(昭和60)年以来、5年ごとに実施している、東京駅を中心とした3km四方でのツバメの営巣状況調査が、619日の朝日新聞の〈ニュース圏外〉で紹介されました。

HPを見て取材を申し込まれた山本亮介記者とともに、ツバメ営巣のメッカ「神田錦町」を歩きました。途中、中断久しいビルで、営巣を再発見したり、今春、北千住へ移転し空き家になった東京電機大学の玄関の巣には還ってきていないことなども確認しました。
バブル期前から始めたこの調査も30年を経過し、街のようすは一変し、ツバメの営巣箇所数は右肩下がりが続いています。当初44か所あったのが、最新の2010(平成22)年調査時には14か所に減り、神田地区が最後の砦となっています。(分布地図参照)

記事の中には、数が減っているのは東京だけでないことや、「駆け込み寺」となっているハイヤー会社の駐車場での運転手さんの対応なども触れられていて、わかりやすく現状が記されています。ツバメ減少傾向は北半球の各国で見られていること。この調査は、地球規模での環境変化の一端を記録する貴重な活動となっています。

2012年6月10日日曜日

オオタカが棲む東京・なぜ猛禽類が・研究者募集!

いま、東京23区という大都会の森の数か所で、オオタカAccipiter gentilis〔写真〕という典型的なタカが子育てをしています。東京でのオオタカの繁殖は、10年以上前から千代田区の皇居内での営巣が知られていますが、現在はほかの緑地でも見られています。また、同じハイタカ属のツミA.gularisも営巣していて、都市環境下でのタカ類の繁殖という、かつては考えられないような状況になっています。オオタカ・ツミの共通点は、鳥類を主食とする森林性の猛禽類ということで、繁殖期は、オオタカはハト~ムクドリ、ツミはスズメなどをよく捕っているようです。
「猛禽類の生息する環境は、自然度の高い地域」というのが生態学では常識。ならば東京都心部は「自然豊かな場所」といえるかとなると、Yes!とはいいきれないのが実情です。しかし、彼らは周年定着し、子育てもしている現実があり、その理由を説明するのに苦慮しているのが現状です。
西日本の都市で、ハヤブサがビルの屋上などで繁殖していることが知られ、また、東京でも同じハヤブサ科のチョウゲンボウが、鉄橋の穴などで営巣していて、「人工建造物利用」という範疇で、都市鳥としての説明がつきますが、ハイタカ属となると別の切り口が必要と思われます。
都市鳥と猛禽類は、かつては結びつかない関係と思われていましたが、同じような傾向は大阪でも見られているようで、都市鳥としての調査・研究を続けています。興味ある人は研究会へご入会下さい。

2012年5月29日火曜日

宿題が出たツバメ取材

日本野鳥の会が5月のバードウィークに呼びかけたキャンペーン「消えゆくツバメをまもろう」のマスコミ取材に協力して、本会のフィールドである東京駅周辺のツバメの状況を案内しています。その中のひとつで、ラジオ番組の取材で、日本橋小伝馬町にある営巣場所を訪れた際、5羽のツバメにスクランブルをされました。
ラジオのため、親が飛んできて餌を与えるときのヒナの声を録ろうとマイクを差し向けたところ、親鳥がキチッ・キチッと警戒声を出して旋回、そして数分後にはどこにいたのか、5羽が集まって周辺をスクランブル飛行。
この地域は、調査区域でもっとも巣が少ないところで、30年来の観察で3例しか記録がない環境です〔写真・スカイツリーもまじかに見える下町〕。ツバメにとって数分(5分前後)という時間で飛べる距離は、物理的には相当あるかもしれませんが、スクランブルで集まった個体が、日ごろコミュニケーションをとっている仲間としたら、あまり遠くないところにいたと推測されます。収録の方は警戒されたということで中止。
それにしても、短時間で5羽が集まったということは、この地域に未発見の営巣地がある可能性ありということになり、2015年の第7回調査年までに探すという宿題が出たこととなりました。

【放送予定日】NHKラジオ「ラジオあさいちばん」201262日(土)朝645分ごろからの『サタデートピックス』(川内 博)

2012年5月3日木曜日

イソヒヨドリの内陸ダムサイトでのデータ

国土交通省のダム環境データベースというのがあり、オンライン検索で調査結果が見られることを教わり、イソヒヨドリの結果を見てみました。そしてこのデータを元にして、地図上に落としてみました。
イソヒヨドリが記録されたダムサイト

平成10年から毎年、内陸のダム湖で記録されており、北海道をのぞく全国でイソヒヨドリが見られていることがわかりました。また、進出はほぼ同時多発的に起きていることもこのデータからうかがえます。(柴田佳秀)

2012年4月26日木曜日

オスのイソヒヨドリも発見

都市鳥ニュースNo.12 で「東京都心でタチバナモドキの実を採食していたイソヒヨドリ」を報告していただいた松丸さんから、報告の場所から300m離れたビルの上でさえずっているオスを観察したという情報をいただきました。
ニュースに掲載したイソヒヨドリはメスでしたので、この場所には雌雄のイソヒヨドリがいることになり、繁殖が期待されます。ついに東京都心にもイソヒヨドリが定着し始めたのでしょうか。(柴田佳秀)

2012年4月17日火曜日

東京都心でハシボソガラスが繁殖をはじめる

東京の都心部は、ハシブトガラスがほとんどでハシボソガラスを見ることはあまりありません。ましてや繁殖することは近年では聞いたことがありません。
ところが会員の松田道生さんによると、今年は巣鴨の近くでハシボソガラスが巣を作っているそうです。ハシボソガラスの世界にも変化が現れているのでしょうか。(柴田佳秀)
詳細は松田さんのブログをご覧ください。

松田さんのブログ Syrinx 「都心でハシボソガラスが巣作り」

2012年4月16日月曜日

都市鳥ニュースNo.12が発行されました。

都市鳥研究会が年2回発行している「都市鳥ニュース」が発行されました。今号から会員の投稿と当ブログで紹介した内容も掲載しております。

都市鳥ニュースNo.12 2012年3月
目次

読み物:東京都心でタチバナモドキの実を採食していたイソヒヨドリ(松丸一郎)
読み物:大阪の街のタカ(和田 岳)
特別寄稿:東日本震災の津波被災10 ヶ月後の宮城県・岩手県沿岸部の鳥類相概要(渡部良樹)

ブログから
甲府駅前・平和通りのカラスのねぐら・第一報              
電線にぶら下がるミヤマガラス 
千葉県柏市でハヤブサ?が捕食したウズラの羽毛を採集
樹脂製ハンガーを利用したハシブトガラス 
東京湾沿岸の緑地にエナガが進出・都市鳥化か?
松本でもカラスの塒で問題が表面                            
ハイタカに注意                                                       
柏駅東口のイワツバメのコロニーが消滅                        
「名城カラスに泣く」名古屋のカラス事情                      
八王子駅周辺のツバメの繁殖は               
足立区の野鳥モニター                 
図書紹介 ツバメのエンサイクロペディア『田んぼの生きものたちツバメ』

2012年4月2日月曜日

カラスのクルミ割り・東京の場合

カラスが車を利用してクルミの実を割らせるという話はよく知られていますが、クルミを堅い地面に落として割るという行為はもっと一般的で、全国的に見られる行動です。東京都内での観察例は今までまとまって報告されたことがありませんでしたが、このたび日本野鳥の会東京の機関誌『ユリカモメ』20123月号(№677)に、ある程度まとまった形で発表されました。〔地図参照〕
この件については、同会研究部のMLに観察事例が報告されると、いくつもの過去の事例が次々と出され、皆さんが日ごろから興味を持っていたことがよくわかったそうです。やはりカラスは「人気者」ですね。
報告のタイトルは「東京都内でのカラスのクルミ割り行動」、報告者は青梅自然誌研究グループの御手洗望さん。このたび同会の研究部HPにその記事がアップされましたので、ぜひご覧ください。(川内博)

なお、発表された地図には、その後次のような訂正がありますので、ご注意ください。
誤::ハシボソの貝落とし:ハシボソの車によるクルミ轢き割らせ
正:ハシボソの貝落とし:ハシボソの車によるクルミ轢き割らせ
日本野鳥の会東京・研究部HPhttp://homepage2.nifty.com/tokyo-birdstudy/


2012年4月1日日曜日

樹脂製ハンガーを利用したハシブトガラスの巣

 2011514日、千葉県柏市内で有害鳥獣駆除として取り壊されたハシブトガラスの巣を見る機会あり、樹脂製のハンガーが複数使用されているのを確認したので報告します。これまでハシブトガラスの巣で針金ハンガーが巣材として使用されている例はよく知られています。ところが最近のクリーニング店では針金ハンガーから樹脂製ハンガーに利用が変わってきました。それによってカラスの巣材が変化するか注目していたところ、今回の確認で樹脂製でも利用されることがわかりました。針金製に比べて樹脂製は曲げたりするのが困難ですが、それでもカラスは利用するところを見ると、ハンガーの形状によほど魅力的なものを感じているのかもしれません。(柴田佳秀)

2012年3月18日日曜日

「名城周辺 カラスに泣く」名古屋のカラス事情・新聞記事から

朝日新聞名古屋本社版の2012314日付夕刊によると、名古屋市中区の名古屋城近くの名古屋高裁、地裁の合同庁舎前の街路樹などで、カラスがねぐらをとるようになって、市民との間で、トラブルが発生しているとのことです。同記事には、「名古屋高裁によると、関係4庁舎では数年前から、屋上にカラスが嫌う薬剤をまいたり、ピアノ線を張ったりして近付けないようにしているという。」という文面もあり、この問題がごく最近発生したのではないようです。
名古屋のカラス事情については、かつて『URBAN BIRDS』№612003年発行)に、札幌から福岡までの8大都市の状況報告のなかで触れました。1997年・2002年の調査時には、早朝の都心部ではハシブトガラス・ハシボソガラスを合わせて数10羽確認しただけで、東京や札幌のような「ゴミ集積所の食い荒し」のような光景はまったく見かけませんでした。〔写真・名古屋のごみ集積所〕また、ねぐらについても、事前情報を得た、千種区の東山公園で、スカイタワー裏の林に集まる2000~3000羽の集団ねぐらを観察しただけでした。もちろん、わずかな情報と数日の現地調査ですので、実態を確実につかんだわけではありませんが、いわゆる東京の「カラス問題」とは無縁の街と判断しました。
最近、名古屋に限らず、「カラス問題」が全国各地で発生しているようです。そこでしばしば話題になるのが、東京都が実施している「捕殺」。これは、野生動物の命を軽んずる方法で、しかも、お金(税金)がかかるばかりで、一般市民が期待するような効果はほとんどありません。〔川内 博〕

2012年3月7日水曜日

東京の郊外・八王子駅周辺のツバメの繁殖は

当会が30年来続けている「東京駅を中心とした3㎞四方におけるツバメの繁殖状況」と比較できる報告が出ました。今月発行された『かわせみ第48号』に、「2011年八王子駅周辺3㎞四方ツバメの巣調査結果」という論文が載っていました。著者は当会創立時からの会員の粕谷和夫さん。粕谷さんは、JR中央線八王子駅を中心とした3㎞四方をフィールドとして、仲間の方とその営巣状況を2001年から5年ごとに調べられています。今回(2011年)は3回目で、巣の位置は地図の通りです。
「東京郊外vs東京都心」の結果は、郊外の八王子での営巣地数が2011年は90か所であったのに対し、都心の数は201014か所と、6.4倍の違いとなっています。この論文に興味ある方は、会までご連絡ください。粕谷さんにお伝えします。
ところで、粕谷さんは、地元に「八王子・日野カワセミ会」というグループをつくられ、多摩川の上流部の浅川を中心に、野鳥の調査・研究・保護・普及活動を活発にされています。その成果を年2回、会報『かわせみ』に載せられ、また、その総まとめを『数え上げた浅川流域の野鳥』という本にして、2回出版されています。それらは、都市鳥研究会に寄贈されていますので、会員の方には貸出をします。とくに、20年間の観察記録をまとめた『数え上げた浅川流域の野鳥2』A4165ページ・20063月刊は、データCD付きで、利用価値の高い内容となっています。(川内博)

2012年2月23日木曜日

図書紹介・ツバメのエンサイクロペディア『田んぼの生きものたち ツバメ』


会員の神山和夫・渡辺仁さんらが、ツバメの本を出されました。タイトルは『田んぼの生きものたち・ツバメ』で、おもな対象は小学生ですが、中味は最新の情報や写真が満載されていて、新知見も得られる内容です。話は春の古巣への帰還から始まって、番形成、巣作り、産卵、抱卵・・・・と季節を追って、ツバメの生態がシャープな写真と平易な説明で綴れています。「田んぼの」という題名になっていますが、彼らの生活のベースは都会地でも同じですので、都市鳥研究にもおおいに参考になります。
日本のツバメについてのモノグラフがない現状では、子どもたちだけでなく、我々にも有効なツバメのエンサイクロペディアとしてお勧めできる一冊です。ツバメについて質問があったときも、これ一冊あれば、いろいろな説明に使えそうです。

田んぼの生きものたち ツバメ(文 神山和夫・佐藤信敏・渡辺仁 写真 佐藤信敏)2012年、農山村文化協会刊 AB56ページ、2500円+税



2012年2月11日土曜日

柏駅東口ダブルデッキ下のイワツバメコロニーが消滅

千葉県柏市のJR柏駅東口にあるダブルデッキと呼ばれる高架下には、1980年代からイワツバメのコロニーがあることで知られていました。
多いときには使用未使用含めて200近い巣がありました。
2006年の様子。天井と梁の境に巣が見える

イワツバメの巣(2006年8月)
ところが昨年2011年3月11日の震災後、耐震工事のためにデッキの補強工事がおこなわれています。昨日の2月10日に確認にいったところ、天井に板がはめ込まれ、巣が撤去されていました。また、一部はまだ巣が残っているようですが、板にふさがれているために利用は不可能です。
今後イワツバメが渡来したときにどう行動するか注目しています。現在のところ巣を作れる可能性がある場所がほとんどないので、営巣は難しいのではと思います。(柴田佳秀)

天井がふさがれてしまった現在の様子

2012年2月9日木曜日

松本にもカラスの塒で問題が表面化

2月9日付けの信濃毎日新聞によると、松本市内のあがたの森公園でカラスが塒をつくり、苦情が出て問題になっているそうです。
カラス問題は、ゴミ荒らしや攻撃から、塒問題にシフトしてきている感じがします。
特徴は、地方都市の都市部の中心にある緑地に塒する。構成種はハシボソガラスが多く、冬塒であることがあげられそうです。
2005年に松本で日本鳥学会の大会があり、そのときカラスを見て回りましたが、ほとんど見られませんでした。状況が変化してきているのでしょう。(柴田佳秀)

松本のあがたの森公園がカラスのねぐらに 市に住民から苦情

2012年2月6日月曜日

電線にぶら下がるミヤマガラス

カラスはいろいろな「遊び」と思われる行動をすることが知られていますが、どの種がどのようなことをするか、きちんとまとめられたことは無いように思います。
私自身は見たことがないのですが、電線にぶら下がるカラスが知られています。私の記憶では、ハシボソガラスがこのようなこのようなことを時々するようですが、ほかの種がするのかどうか、知りませんでした。ところが、ミヤマガラスが電線にぶら下がっている写真が、あるブログに出ているのを偶然に見つけました。

ミヤマガラスのぶら下がり120109千葉県

さらに調べると同じブログにハシブトガラスがぶら下がっている動画も出ていました。

カラスのぶら下がり(動画)111113千葉県(追加111129)」

どの種類が、どのような時季に、どのような状況で行っているか、情報を集積すると、何か分かってくるかもしれません。(渡部良樹)

2012年1月28日土曜日

甲府駅前・平和通りのカラスのねぐら・第一報

甲府市は、山梨県の県庁所在地。そんな都会の中心部・JR甲府駅前から南へ走る主要道路が通称・平和通り。通りには県庁や市役所(いずれも改築中)、銀行などの大きな建物が軒を並べていて、車道の中央には常緑樹が植えられ、両わきには歩道と自転車道が並走するという大通り。そして立派なケヤキの並木が、数百メートル続いています。
こんな環境が大好きな鳥がいます。ムクドリです。千葉県をはじめ、日本各地の駅前や大型スーパー近くなどで、大群でねぐらをとって社会問題となっています。興味あるテーマとして本会の主要研究のひとつとなっているものですが、今回の話は、その鳥がカラスという大物になったというものです。

1月25日(水)、その状況を調べに行きました。前々夜、東京地方は積雪4センチ。甲府はさぞ歩きにくいのではと覚悟をしていましたが、雪が降った形跡ゼロ。まわりの山には白いものが見えますが、盆地の中は降らなかったとのこと。
夕方3時半ごろから、カラスは街なかのビルの上に集まりだし、その数は1000羽近くといったところ。識別できた限りにおいてはハシボソガラスばかり。午後5時過ぎ、周辺が暗くなってから、平和通り沿いのビルに集結、5時半ごろから葉の落ちたケヤキの木の上方に止まりだしました【写真】。
6時ごろに歩道を歩くと、身近に「ペシャ」という音が次々に。今のところ苦情は来ていないとのことですが、ムクドリですら大問題になるのに、1個の糞はその数倍の量ですので、トラブルが大きくなるのは時間の問題と思われました。この現象の原因はまだわからないようですが、2年前くらいから生じたとのこと。本格的に対応を始めたのは昨年10月からで、まだ暗中模索の状態。現在、さまざまな対策を講じている途中のようです。

なぜ警戒心の強いカラスが、このようなにぎやかな場所にねぐらをとるのか。しかも、ムクドリやハクセキレイ、スズメなどに比べて、敵となる動物もあまりいないと思われるカラスとなると、話はますます謎が大きくなります。昨年末ごろから、テレビ・新聞などでも報道されていますので、ご覧になった方も多いと思います。同じような事例の情報をお待ちの方はご連絡ください。
同地には、本会会員の中村司山梨大学名誉教授をはじめ、鳥にくわしい方がいらっしゃいますので、今後の動きがわかると思います。興味深い現象として注視していきたいと思っています。〔川内 博〕

2012年1月25日水曜日

ハヤブサ?が捕食したウズラの羽毛を採集

20111130日に、千葉県柏市の柏駅近くにあるクレストホテルの下でハヤブサが捕食したと思われるウズラの羽毛を採集したので報告します。クレストホテルは15階建ての当地では2番目に高いビルで、最上階にときおりハヤブサがとまり、捕らえた獲物を引きちぎって食べます。そのため、ビルの地上部にはハヤブサが捕食した獲物の羽毛が散乱しています。そのほとんどがドバトやキジバトですが、今回はウズラの羽毛を採集しました。
 ウズラは、環境省では準絶滅危惧種、千葉県では絶滅危惧Ⅰ類に指定されているほどの希少種です。当地から1㎞ほど離れた手賀沼では、年に数回の目撃例があるくらいです。今回は直接ハヤブサがウズラを捕食している場面の観察していないので、どうしても?がつきますが、状況から考えてまず間違いなくハヤブサが捕らえたものと考えています。(柴田佳秀)