2012年3月18日日曜日

「名城周辺 カラスに泣く」名古屋のカラス事情・新聞記事から

朝日新聞名古屋本社版の2012314日付夕刊によると、名古屋市中区の名古屋城近くの名古屋高裁、地裁の合同庁舎前の街路樹などで、カラスがねぐらをとるようになって、市民との間で、トラブルが発生しているとのことです。同記事には、「名古屋高裁によると、関係4庁舎では数年前から、屋上にカラスが嫌う薬剤をまいたり、ピアノ線を張ったりして近付けないようにしているという。」という文面もあり、この問題がごく最近発生したのではないようです。
名古屋のカラス事情については、かつて『URBAN BIRDS』№612003年発行)に、札幌から福岡までの8大都市の状況報告のなかで触れました。1997年・2002年の調査時には、早朝の都心部ではハシブトガラス・ハシボソガラスを合わせて数10羽確認しただけで、東京や札幌のような「ゴミ集積所の食い荒し」のような光景はまったく見かけませんでした。〔写真・名古屋のごみ集積所〕また、ねぐらについても、事前情報を得た、千種区の東山公園で、スカイタワー裏の林に集まる2000~3000羽の集団ねぐらを観察しただけでした。もちろん、わずかな情報と数日の現地調査ですので、実態を確実につかんだわけではありませんが、いわゆる東京の「カラス問題」とは無縁の街と判断しました。
最近、名古屋に限らず、「カラス問題」が全国各地で発生しているようです。そこでしばしば話題になるのが、東京都が実施している「捕殺」。これは、野生動物の命を軽んずる方法で、しかも、お金(税金)がかかるばかりで、一般市民が期待するような効果はほとんどありません。〔川内 博〕

2012年3月7日水曜日

東京の郊外・八王子駅周辺のツバメの繁殖は

当会が30年来続けている「東京駅を中心とした3㎞四方におけるツバメの繁殖状況」と比較できる報告が出ました。今月発行された『かわせみ第48号』に、「2011年八王子駅周辺3㎞四方ツバメの巣調査結果」という論文が載っていました。著者は当会創立時からの会員の粕谷和夫さん。粕谷さんは、JR中央線八王子駅を中心とした3㎞四方をフィールドとして、仲間の方とその営巣状況を2001年から5年ごとに調べられています。今回(2011年)は3回目で、巣の位置は地図の通りです。
「東京郊外vs東京都心」の結果は、郊外の八王子での営巣地数が2011年は90か所であったのに対し、都心の数は201014か所と、6.4倍の違いとなっています。この論文に興味ある方は、会までご連絡ください。粕谷さんにお伝えします。
ところで、粕谷さんは、地元に「八王子・日野カワセミ会」というグループをつくられ、多摩川の上流部の浅川を中心に、野鳥の調査・研究・保護・普及活動を活発にされています。その成果を年2回、会報『かわせみ』に載せられ、また、その総まとめを『数え上げた浅川流域の野鳥』という本にして、2回出版されています。それらは、都市鳥研究会に寄贈されていますので、会員の方には貸出をします。とくに、20年間の観察記録をまとめた『数え上げた浅川流域の野鳥2』A4165ページ・20063月刊は、データCD付きで、利用価値の高い内容となっています。(川内博)