2012年9月5日水曜日

「ツバメの蚊柱」・東京・清瀬市で

 東京の郊外・清瀬市では、8月に入ると下清戸3丁目の約2万㎡農地で「ひまわりフェステバル」が開催されます。毎年数万人がこの地を訪れて、清瀬の夏の「農ある風景」を楽しんでいます。今年も818日から31日まで開催されましたが、フェステバル終了後見晴らし台も閉鎖され、今では人影もない何時もの穏やかな農作地の風景が広がっています。
  92日、9時「ヒマワリとカワラヒワ」のショットを求めてヒマワリ畑に出かけました。ヒマワリは、この畑の所有者が毎年小麦を生産した後、畑の緑肥とするために栽培しているもので、フェステバルが終わるとヒマワリは刈り取られ、トラクターによって畑に漉き込まれます。私が行った時には既にトラクターが遠くで盛んに動いていました。
 さて、目当てのカワラヒワの姿は無く、上空を見上げて驚きました。「ツバメの蚊柱」です。蚊柱が横に広がっているように、トラクタが動いている当たりの上空にはおびただしい数のツバメの集団が飛び回っていました。どの位の数なのか、数えるのをあきらめて眺めているだけでした。日頃見かけない光景です。トラクタの動きに攪乱され舞い上がって来る昆虫を上空で待ち受けて捕食しているのでしょうが、このツバメは何処から来たのでしょうか。
 8月半ばを過ぎると、市内の柳瀬川調節池のツバメも、ここヒマワリ畑のツバメも一挙に数が減ります。従ってヒマワリ畑上空の集団が、この地域に密着して生活しているツバメだけとは思われません。おそらく移動中のツバメも多く含まれているのでしょう。ピンポイントのスポットでもそこに餌があれば目敏く見つけ、食いつなぎながら移動するツバメの生活の一端を知る思いがしました。
 トラクタが動きを止めると間もなく、ツバメの蚊柱はスーと消えました。あれほどいたツバメが上空からみごとに消えました。先を急ぐ身、餌の無いところに長居は出来ない・・・、状況の変化による適応の早さは、個体や種を維持するためには必須の条件なのでしょうが、慌ただしく集団が去った後、刈り残されたヒマワリ畑の上を何時ものように飛び回っている10数羽の地元のツバメ(?)に妙な親近感を覚えました。
(青木秀武)