2013年9月22日日曜日

日本鳥学会2013年度大会で自由集会「東西の「駅ツバメ」調査から見えてくるもの」を開催しました

名古屋市の名城大学でおこなわれた日本鳥学会2013年度大会において、9月14日、「東西の駅ツバメ調査から見えてくるもの」と題して自由集会をおこないました。

まず、最初に話題提供をいただいたのは、大阪市立自然史博物館の和田岳さん。昨年2012年におこなわれた関西での駅ツバメ調査のきっかけと経過報告をお話しいただきました。
Twitterという仕組みを利用して、いままで鳥とはあまり縁の無かった人々も調査に協力し、関西全駅の営巣状況があきらかになった経緯を楽しくお話しくださいました。

つづいては、農業環境技術研究所の大澤剛志さんが、関西駅ツバメのデータを解析した結果のお話です。
じつはこれほど大規模な市民参加型の調査はなかなかないとのこと。
また、アマチュアはデータを集めることはできても、それを解析するのはとてもハードルが高いのも事実です。専門家でいらっしゃる大澤さんが見事に関西ツバメのデータを解析し、その結果、ツバメの営巣には近くに河川などの水辺環境が一番重要であることがわかったそうです。

つぎに今年、1775駅もの関東地方全鉄道駅のツバメ調査の原動力となった調査事務局の渡辺仁さんからの報告。こちらもTwitterなどで調査を呼びかけたところ、185名の方の参加があったとのこと。調査の結果、関東地方の駅の約20%にツバメの営巣が確認されたこと、鉄道会社によってその違いがあったことなどの報告がありました。これからはさまざまなデータを用いて解析をおこない、ツバメにとって駅とは何か明らかにできればとの事です。

日本野鳥の会東京の調査として発表された川内博さんからは、東京・高尾間の中央線の駅とその周辺でおこなわれた営巣調査のお話をしていただきました。駅にツバメの巣がなくても、その周辺を探すと巣があるとのこと。駅ツバメ調査だけでは見落としがちになる興味深い事実がわかりました。

つぎに話題提供をいただたのはNPO法人バードリサーチの神山和夫さん。道の駅のツバメと共存の方法についてお話をいただきました。簡単に設置できる糞除け台についてのアイデアをご紹介いただきました。

最後に質疑応答と討論を行いました。そのなかで駅のツバメは、かならずしも皆に好かれているわけではなく、駅によっては営巣を嫌がったり、巣を撤去していることが話題になりました。どうしたら、駅のツバメが人と共存することができるか話し合いましたが、道の駅の例がヒントになりそうだという結論に。また、このような調査を毎年やるのは大変だけれども、5年に一回はやりたいという提案も出ました。
32名とちょっと参加者が少なかったのですが、それでも日本のツバメ研究の最前線にたたれている方達が一堂に会した感じで、とても有意義な集まりになったのは間違いなかったと思います。
(柴田佳秀)