2013年10月27日日曜日

都会派オオタカに注目したシンポジウムへのご案内

今秋112日(土)に、日本野鳥の会東京と共催で、東京都心部の自然“緑島(りょくとう)”を対象としたシンポジウムを、東京の国立科学博物館附属自然教育園で開催します。この中で、都市鳥研究会としての従来の研究を紹介するとともに、都会に棲みだしたオオタカに焦点をあてて、東京都心部の自然を見ていきたいと思います。
都心部で営巣しているだけで「都会派」といえるかどうかわかりませんが、里山に棲むオオタカとは少しようすが違います。今回はオオタカに興味を持つ方がたくさん出席されると思いますので、その中でいろいろなディスカッションも予定しています。ぜひ参加されるとともに、ご自分の考え・意見をお願いします。

【シンポジウム開催要領・プログラム】

東京の環境を考える・第3
東京都心部の自然・“緑島”の今と昔・そして未来

日 時:2013112日(土)1230分開場、13時~16
会 場:自然教育園・講義室〔東京都港区白金台・国立科学博物館附属〕《地図参照》
定 員:先着50
〔満席の場合は、入口にその旨を表示します。ご確認の上入園ください〕
参加費:無料〔入園料300円。65歳以上・高校生以下は無料〕

〈基調講演〉
1.東京都心部の自然“緑島”における鳥たちの変遷 川内 博氏(都市鳥研究会)
2.都市緑地とオオタカの保全 金井 裕氏(日本野鳥の会)
3.自然教育園60年間の自然の記録 矢野 亮氏(自然教育園)

〈パネルディスカッション〉
オオタカが生息するようになった「東京都心部」の環境とは

パネリスト:金井 裕・中村文夫・高橋嘉明氏


2013年10月17日木曜日

名古屋都心部のカラスのねぐら

名古屋におけるムクドリのねぐらについて、マスコミ報道の後追い観察を紹介しました(本ブログ:2013102日付)。同じように、名古屋の都心部でのカラスのねぐらについても、昨年3月に電話取材を受けていて、その記事は「名城周辺 カラスに泣く」というタイトルで、朝日新聞(夕刊)2012312日付に載っています。そこでその状況を日本鳥学会大会終了後の916日の夕方、中区の二の丸・三の丸で見てきました。
夕方5時過ぎ、名古屋城に近づくとカラス(ハシブト・ハシボソ)がビルの上を何羽も飛び交う状態でした。城内二の丸にある愛知県立体育館の屋根や周辺の木々に数百羽集まり、飛び交う様を見かけました。十三夜の月をバックに“月に烏”の傑作?をねらい〔写真〕ながら、ねぐら入りを待ちました。午後6時前くらいには隣接する官庁街の並木(ケヤキ)に移動。あたりはだんだん暗くなり、カラスの動きを追うのがむずかしくなりましたが、とりあえず、数か所で、数十羽のカラスがケヤキ樹内への飛び込みを確認。歩道や植え込みの糞の跡などから、この地がねぐらであることは間違いないと思われました。
新聞の記事によると、この地にねぐらを取るようになったのはここ数年のことのようで、一帯は県警本部・市役所庁舎・合同庁舎などのビルが建ち並ぶ官庁街で、サブタイトルが“大群の「落とし物」うらめし”となっているように、迷惑がられているようです。

初めての地で、1回の観察ですので、その時、見た・聞いた限りでは数は5001000羽程度、ブトとボソの割合は4:6で、ボソの方が多いような感じでした。
(川内 博・桂子)



2013年10月2日水曜日

名古屋・平針のムクドリのねぐら


秋になると、駅前などの繁華な場所でのムクドリのねぐら問題が浮上し、マスコミからの取材を受けることがよくあります。最近の傾向は、地方都市からの問い合わせが目立ち、その実態を見ずに対応ということが多くなっています。今回、名古屋・名城大学での日本鳥学会大会を機に、昨年10月に電話取材に応じて記事にもなった(朝日新聞・10月29日付)、名古屋市天白区の地下鉄・鶴舞線平針駅付近の状況を見てきました。
9月13日の夕方、午後4時30分から現地に出張り、電線に取り付けられている剣山のようす、路上や街路樹の葉に落ちた糞の状況を観察し、ムクドリ飛来の場所を確認しました。5時20分過ぎから、ビルの屋上のTVアンテナにスズメが50羽ほど集まり、ムクドリが単独で姿を見せだしました。5時43分に30羽・40羽の群れが頭上にあらわれ、6時過ぎには数百羽の群れが飛来し、駅の近くの電線に一斉に止まりだしました〔写真1〕。
飛来数は最終的(夜7時段階)に3000羽~5000羽程度と思われ、一部は街路樹(トウカエデ)に入るものもいましたが、多くは電線に止まったままでした。翌日の夜10時ごろ、同じ場所を観察したところ、前日の状態と同じでしたので、電線で一夜を過ごすと思われます〔写真2〕。なお、この観察の詳しくは、『URBAN BIRDS』に報告予定です。
千葉や埼玉でのねぐら入りとの違いは、上空を旋回するようなことはほとんどなく、一気に電線に飛来するといった状態でした。1回の観察ですので多くはいえませんが、マスコミ情報の確認といった意味で、意義のあった現地視察でした。(川内 博・桂子)

写真1

写真2