2014年8月27日水曜日

日本鳥学会大会・自由集会終わる・イソヒヨドリ全国調査開始

2014年度の日本鳥学会大会は、告知通り822日(金)~25日(月)の間で、東京・池袋の立教大学で開かれました。今年は国際鳥類学会議が818日(月)~24日(日)にかけて、同じ立教大学で開かれ、キャンパスは国際色豊かな状況でした。
当会は、822日夜に自由集会を開き、会員や学会参加者31名のもと、3つの話題提供をしました。トップは粕谷和夫氏による「イソヒヨドリの内陸への繁殖分布拡大の要因を探る」で、東京湾から50kmも離れた東京・八王子のビル街でのイソヒヨドリの繁殖の詳細や全国的な調査状況を紹介。次いで、川内 博氏の「エナガの東京地方における生態変化について」ということで、“森のエンジェル”エナガが、東京都心部の森まで進出している状況や、郊外での繁殖は面として拡大している実態が報告されました。最後は、越川重治氏による「ツバメの人工巣による巣場所移動と落下防止」ということで、コルク粘土による人工巣の設置の状況、困難な巣の移動実績などの実績が発表されました。

この中で、これからイソヒヨドリの内陸部への進出状況や繁殖状況を全国的に調べていくことになりました。ここ数年来、同じような事例報告が、当会のブログや学会で発表されたり、研究誌への投稿などで目立っています。その走りは、川内 博著『大都会を生きる野鳥たち』(地人書館・1997年刊)のなかの、「シティ・ボーイのイソヒヨドリはいつ」で知ることができます。
“磯”のない東京都では、かつてイソヒヨドリはその姿はほとんど見られず(戦前は3例)、戦後も19613月~12月にかけて銀座で数例観察されたのが初めてです。その後年を追うごとに報告が増え、場所も内陸部へという一連の流れが読み取れます。イソヒヨドリのここのところの興隆は、その流れの続きとして考えることができますが、では“なぜ?”という疑問には、明確に答えることができません。これから全国展開して、その謎を解明したいと思います。
この鳥の分布を世界的に見れば、日本のように“磯”に執着した生活の方が異端で、英名(Blue Rock Thrush)や学名の意味する通り、“岩場”が本来の生息環境の鳥(イソヒヨドリを見かけた、中国・昆明の乃古石林の風景。海岸から400㎞離れている)〔写真〕。しかし、いまなぜ“磯”から離れ出したのか。まずはその実態から研究をはじめます。

興味ある方は、都市鳥研究会へご連絡ください。


2014年8月6日水曜日

わが家にイソヒヨドリが・日本鳥学会大会自由集会への表敬訪問か?

わが家(都市鳥研究会事務局を兼ねる)は、東京23区の練馬区に隣接する、埼玉県和光市のマンション団地一角の9階角部屋。7月30日、自室でデータ整理をしていると、隣室から日ごろ耳にしない小鳥のさえずりが聞こえてきます。女房が外国産鳴禽類のCDでも聞いているのかと気にもしていませんでしたが、隣室に行くと誰もいず、声は外から聞こえてきます。はて?!と、注意深く外を見ると、中型の鳥が外に開いていた台所のドアの上に。そこで初めてイソヒヨドリと気づきました。
網戸越しにまずは1枚〔写真〕、別の部屋から撮ろうとしたら逃げて行ってしまいました。
雄で、完全な囀りではなく、ぐぜるような歌でしたので、若鳥だったのかもしれません。その23日まえから、聞きなれない大きな声が階下から聞こえていて気にしていたところでした。
今年の日本鳥学会大会時の自由集会での大きなテーマが「イソヒヨドリの内陸への繁殖分布拡大の要因を探る」です。“磯ひよどり”だった日本のイソヒヨドリが“国際標準化”の波にのって()、山間のダムに出現したり、市街地で繁殖したりということが続いています。これからも思わぬところでイソヒヨドリとの出会いがあると思います。
その他の自由集会での発表予定は「東京地方におけるエナガの生態変化について」、「ツバメの人工巣による営巣場所移動と落下防止」ほかです。

ところで、わが家のイソヒヨドリの声はその後付近でも聞けませんが、今後どのような展開になるのか楽しみです。 (川内 博)