2014年10月28日火曜日

東京都心部のムクドリのねぐらの消長

不思議なことに、最近、東京都心部ではムクドリのねぐらが見つかっていませんでした。今から半世紀以上も前の、195060年代には、東京駅や有楽町駅一帯で、日本初の“繁華街のねぐら”ができて鳴声や糞害で新聞沙汰の騒動が起きていましたが、その騒動は、リング状に、千葉や埼玉と郊外へと広がり、ここのところ、東京の市街地ではムクドリのねぐらが見つかっていませんでした。。
ところが、この夏、新宿区の戸山公園の一角で、7月初めごろから1000羽程度のねぐらができたことが観察されました。見つけたのは日本野鳥の会東京に勤める北島季代子さん。自宅近くで、いままで見たことがなかったとのこと。
だいぶ時間が経ってからその話を聞き、923日と1010日に現地におもむき、実態を観察しました。集まる数は1000羽前後で、夕方になると近くのビル・マンションの屋上に集結し、日没ごろに一帯を群飛し、薄暗くなって戸山団地の端の、道路に面した交番裏のケヤキに飛び込むといった流れ。団地の建物には近い場所ですが窓がない面なので、あまり住民からは嫌がられていない様子。“こんな場所ならどこにでもある”といった環境で、なぜムクドリがねぐらを作ったか理解しがたいところです。
 その後のねぐらの状況を北島さんに聞いたところ、1013日の台風19号の後はまったく来ないとのこと。秋風とともに去って行ったのか、台風下に一夜を過ごして、ねぐらとして好適地でなかったと判断したのか、久々のムクドリの都心ねぐらは消滅したようです。(川内 博)