2015年10月18日日曜日

関西地方のイソヒヨドリ・数日間行脚して―「イソヒヨドリはなぜ内陸部に進出するのか」日本鳥学会大会自由集会の報告・2

921日午前中で日本鳥学会2015年大会が終わり、私は24日夕方の関空発成田行きの飛行機に乗るまでの間、イソヒヨドリの姿を求めて、神戸・明石・大阪・岸和田・奈良・和歌山を回りました。

22日早朝、神戸港(神戸市新港町)を歩いていたら、神港貿易会館の上を飛ぶ3羽の姿と、その直後に税関本庁建物屋上に3羽の計6羽に出会いました。同日午後4時過ぎに、大阪・岸和田市の岸和田城の天守閣から一帯を見下ろすと、府立岸和田高校屋上に雌1羽を目にしました。短いセンテンスでさえずりも聞こえてきました。そこから北へと内陸部へ向かって踏査すると、JR東岸和田駅近くの大型スーパー・イオンの立体駐車場隣地のポールに止まるイソヒヨドリ雄1羽。

23日は、奈良市内を、地元の日本野鳥の会会員の方の案内で終日踏査。新薬師寺に近い戸建ての多い住宅地で声を聞き、夕方にはJR奈良駅近くの高層ビルがならぶ中の「なら100年会館」〔写真1〕で、姿は見えませんでしたが囀りを確認しました。

最終日の24日は、地元の研究者の案内で、和歌山県橋本市および高野町を車で回りました。午前中は雨でしたが、出迎えていただいた南海高野線・林間田園都市駅(和歌山県橋本市)の駐車場で、さっそく雄1羽を確認。近くの三石台中学校、柱本小学校の校舎の上で、それぞれ雄1羽ずつ。その後、中柱本で、降りしきる中で雌1羽〔写真2〕と、団地の中のスーパーで鳴声を確認。お昼にはよくいるというスーパー・マツゲンの屋上駐車場で鳴声を。午後は、これも見かけたことがあるという高野山(和歌山県高野町)へ。どんなようすかと、壇上伽藍で車から降りて数分後には、根本大塔屋根に雄1羽〔写真3〕。

観察した時間は、それぞれの場所で1030分程度という短時間で、8か所中7か所で出現という信じられない状況でした。以前見かけたことがあるという場所を巡ったのですが、繁殖期を終えた時期にこれだけ出会えるとは思いもよらなかったことです。なかでも高野山の寺院の屋根の上でとは予想もしなかったことでした。

1か月前の8月上旬に、東京・八王子市一帯の9か所の営巣場所を、同じように地元の研究者に案内してもらいましたが、その時はまったくイソヒヨドリには出会えませんでした。

919日に実施した、日本鳥学会・自由集会「イソヒヨドリはなぜ内陸部へ進出するのか・・・大阪・東京地方でのようすからその実態に迫る」で、関西地方の状況を発表された、大阪市自然史博物館の和田 岳さんの“関西では、イソヒヨドリは一般的だ”ということばを実体験した3日間でした。
現地をご案内いただいた、岩本二郎・小田久美子・粕谷和夫の各氏に感謝いたします。(川内 博)


〔写真1JR奈良駅近くの「なら100年会館」。
この建物の上部から囀りが聞こえてきたが、姿は確認できなかった。

〔写真2〕橋本市中柱本で、車の中から偶然見かけたイソヒヨドリの雌。
関西地方でのこの鳥の定着ぶりを知った
1ショット。

〔写真3〕高野山・壇上伽藍の根本大塔の屋根の上に1羽の雄を発見。
山の上のお寺の屋根で見かけるとは予想もしていなかった。